
ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイが、2024年第4四半期に保有していたS&P500連動型ETF(SPYやVOO)を全て売却したとのニュースが報道されました。
このニュースを受けて、バフェット氏がS&P500を見限ったなどといったコメントが散見されます。
私はNISA口座でS&P500投信を突っ込んでいますので、気にならないと言えばウソになります。
そこで、本当にバフェット氏がS&P500を見限ったのか、そして、S&P500は終わったのか考えていきます。
目次
- 【結論】バフェット氏はS&P500を見限ってないし、S&P500はオワコンじゃない。
- 機関投資家がS&P500等のインデックスファンドよりもパフォーマンスを上げる事は難しい
- まとめ(S&P500売却が示す機関投資家のジレンマとインデックス投資の合理性)
【結論】バフェット氏はS&P500を見限ってないし、S&P500はオワコンじゃない。
この一言に尽きるのだが、理由などをつらつら述べていきます。
S&P500の売却は全体の0.02%に過ぎず、バークシャーハサウェイにおけるポジション整理と考えるのが妥当です。
売却額も全体から見ると小規模です。
一方で、バフェット氏は石油会社であるオクシデンタル・ペトロリアムの株式を買い増すなど、エネルギー関連株への投資を強化しています。
この動きは、市場全体の過熱感や特定セクターへの集中を避けるためのリスク管理、あるいは新たな投資機会への資金再配分といったリバランスと考えられます。
バフェット氏の投資行動は、常に市場や経済の動向を反映したものです。
バークシャーハサウェイは機関投資家であり、「市場平均」を超えなければならない
- 機関投資家の使命は、顧客や株主に対して市場平均(=S&P500などのインデックス)のリターンを上回ること。
- しかし、市場の平均がすでに優れたリターンを提供していると、アウトパフォームするのが極めて難しくなる。
- 例えば、過去10年のS&P500の平均リターンは 約10%。機関投資家はそれ以上の成果を求められる。
機関投資家とは証券会社や保険会社等、顧客から預かった資金を運用している大口の投資家です。年金を運用しているGPIFも機関投資家です。
そんな機関投資家は、株主や顧客から預かっ資金を現金預金のままにしておくと、「何故、現金預金のまま寝かしておくのか。手数料を払って資金を預けているのだからリターンを求めよ。」と言われてしまうから。
かと言って、機関投資家がインデックスファンドばかり投資しているのなら、顧客や株主は資金を預ける必要がなくなる。
機関投資家がS&P500等のインデックスファンドよりもパフォーマンスを上げる事は難しい
「敗者のゲーム」等を読めば書いてあることですが、市場の株価を醸成しているのは機関投資家自身だから。
取引金額の大半は機関投資家によるものであるため、それが株価を醸成しているのであれば、それを上回るパフォーマンスを出すことは難しいでしょう。
インデックスファンドは手数料が低く、効率的
証券会社や銀行等は手数料が割高のアクティブファンドを販売していますが、高額な手数料(管理費や運用コスト)がかかるため、運用成績がインデックスに負けやすい。
これに対し、インデックスファンドは超低コスト(例:VanguardのS&P500 ETF「VOO」の経費率は0.03%)で市場のリターンをそのまま享受できる。
この手数料というのはバカにできないです。というのも、投資成績に関係なくかかる費用だからです。投資の世界において、手数料が高いから、高パフォーマンスとは限りません。
市場の効率性が高まっている
- 機関投資家の多くは市場分析を行い、株価は瞬時に情報を織り込むため、個別銘柄の「割安株」を見つけるのがますます難しくなっている。
- 市場の効率性が高まるほど、アクティブ運用の優位性が失われる。
巨大な資産を動かす難しさ
- バークシャーのような機関投資家は 数十億ドル単位の資産 を運用しており、「この株が良さそうだから買おう」と簡単に動かせない。
- 自分たちの売買が株価を大きく動かしてしまい、自身のパフォーマンスに影響を及ぼす。特に時価総額が低い銘柄は手を出しにくい。
- インデックスファンドは、そうした資産運用の制約を受けず、シンプルに「市場全体」を買うため、結果的に効率的な運用ができる。
バフェット自身も「個人投資家にはS&P500が最適」と発言
バフェット氏は、個人投資家向けに「インデックスファンドが最良の選択肢」と何度も語っています。
- 「プロの投資家でもS&P500に勝つのは難しい」。
- 「個人投資家はS&P500を定期的に買い続けるのが最も合理的」
バフェット氏は妻にも、S&P500を買うように勧めているのは有名です。
まとめ(S&P500売却が示す機関投資家のジレンマとインデックス投資の合理性)
市場のリターンが十分に高いと、機関投資家がインデックスを超えるのは難しくなる。
手数料の低いインデックスファンドが強力な競争相手になり、アクティブ運用の優位性が薄れる。
バフェット氏のような機関投資家は、ポジションの流動性や運用規模の関係で市場全体を買い続けることが難しい。
結果的に「個人投資家はS&P500に投資するのが賢明」というバフェット氏の助言の正しさが裏付けられる。